
ごきげんよう。
お嬢様の栗ノ宮 綾音(くりのみや あやね)ですわ。
本記事では、謎多き蒼白の王ウィルムの正体について、考察してまいります。
結論から申し上げますと、蒼白の王ウィルムの正体は『蛇(Serpent)』であり、終焉をもたらす存在ですの。
「虚無との抱擁」EDでは影の主(闇)がラディアンス(光)を打ち滅ぼしましたが、その手引きをしたのは蒼白の王ウィルムであると、わたくしは考えておりますわ。
その根拠を、ゲーム内の描写や設定をもとに、詳しく解説してまいります。
- 蒼白の王ウィルムの正体とその使命
- 蒼白の王ウィルムの目的
- 蒼白の王ウィルムの現在の姿
蒼白の王ウィルムの正体|虚無を崇拝する古代のワーム(Wyrm)
蒼白の王ウィルムはワーム(Wyrm)
蒼白の王ウィルムは、悠久の時を生きる古代のワーム(Wyrm)でございます。
しばしばドラゴンの一種として物語に登場するワームですが、Wyrmとは古英語で、翼や手脚を持たない、蛇のような姿の存在を意味する言葉ですの。
蒼白の王ウィルムが遺した抜け殻こそ、まさしくワーム(Wyrm)そのものの御姿でございますわ。


つまり、蒼白の王ウィルム――彼は、虫でもなければ、実在の種族でもございません。
神話や伝承の中にのみ棲まう、幻想と神秘の種族でございますのよ。
ワーム(Wyrm)は上位存在(higher beings)
制作チームの皆様は、Wyrmは上位存在(higher beings)であると明言しておりますの。
Wyrmはラディアンスやホワイトレディ、ウヌと同格の、別の次元に生きる高次の存在なのですわ。
ワーム(Wyrm)は複数体存在する
ホロウナイトの世界には、蒼白の王ウィルムの他にも、複数のワームが存在していたようですわ。
そのことは、バードーンの言葉からも明らかでございますの。
誤解するな。我はウィルムではない…オーム…我はウィルムとしては小さすぎ、多すぎる四肢をもつ。我はあの古の者のような洞察を持たない。
― バードーン


ここで注目すべきは、英語版の表現でございますわ。
I am not a wyrm… Ohrm… Too small, I am. Too many limbs. No foresight like those old things.
― Bardoon
バードーンは “a wyrm” ではないと述べたうえで、“those old things” と複数形を用い、明確に『古代のものたち(ワーム)のように未来を視る力を持っていない』とおっしゃっております。
さらに五大騎士の皆様におかれましても、黒いワーム(the Blackwyrm)と戦ったご経験がおありのご様子。
王者の呼び声…コブの林…黒いウィルムとの戦い…私はすべて覚えている。これからも私はこの栄光と共にある、再び私たちが会うその時まで。
― 純白の騎士オグリム
つまり、未来視の力を持つワームは複数体存在している――あるいは、かつて存在していたことが示唆されておりますわ。
それらのワームすべてが上位存在なのか、蒼白の王ウィルムとなったワームだけが上位存在なのかは、明らかにされておりませんのよ。
ワーム(Wyrm)は虚無を崇拝する古代の民
狩猟者の書『虚無の像』には、古代のムシは虚無を崇拝していたとありますの。
Inspired or mad, those ancient bugs. They devoted their worship to no lord, or power, or strength, but to the very darkness itself.
– Lemm
お嬢様的意訳をするならば「それは啓示か狂気か――古代のムシたちは、王でも権威でも力でもなく”闇そのもの”に崇拝を捧げておりました」となるかしら。


そして遺された古代の遺物を見るに、古代のムシたちは虚無を畏れ敬いながらも制御しようとしていたようですの。
- 虚無を容器に入れる技術(虚無の像・アビス左奥にある虚無の器)
- 虚無からカゲを生み利用する技術(アビスの叫び・鋭利な影)
蒼白の王ウィルムはこれらの古代の技術を応用し、虚無に形を与える技術(器・オウノカラ)を生み出したといえましょう。
なぜそのようなことができたのか――それは、虚無を崇拝する古代文明の中にワーム(Wyrm)がいたからでございます。
古代文明の遺物であるソウルトーテムも、Wyrmのように蛇の形をしておりますのよ。


つまり蒼白の王ウィルムは、虚無を崇拝する古代の民の一派でございますの。
『Wyrm』の語に秘められし使命|神話譚としてのホロウナイト
『Wyrm』という語が何を意味するのかを知っておきますと、蒼白の王ウィルムについての考察も、より深まってまいります。
少しばかり、掘り下げてまいりましょう。
Wyrm=蛇(Serpent)+竜(dragon)を表す語
Wyrmの語が一番最初に持っていた意味――つまり原義は、蛇(serpent)でございます。
Serpentはただの蛇ではなく、神話などにおいて重要な役割を担う、特別な蛇のことを指しますの。
Wyrmには『這うもの』の意があり、そこから蛇(snake)や竜(dragon)の意味が追加され、虫のワーム(worm)に派生したのですわ。
なぜ蛇に竜の意味が重なったのか――それは古代の竜が、翼や手脚を持たない長い蛇のような姿で描かれていたからでございます。


古代において蛇と竜の境界はとても曖昧で、同一視されていましたの。
翼を持ち火を吹く竜は、中世の騎士譚や聖人伝における竜退治を経て広まった、比較的新しいイメージですのよ。
神話に登場する蛇(Serpent)と、蛇の姿をした古代竜(Wyrm)。
そのふたつの象徴をあわせ呑んだ存在――それこそが『Wyrm』なのでございます。
ホロウナイトはまさしく、古き神々の戦いを綴る神話の物語。
その舞台において蒼白の王ウィルムは、蛇(Serpent)の使命を持つ古代竜『Wyrm』として描かれているのですわ。
神話における蛇(Serpent)の役割
それでは神話や伝承において、Serpentがどのような役割を担ってきたのかを見てまいりましょう。



蒼白の王ウィルムとの共通点が、驚くほど多くございますのよ!
知を授け、滅びをもたらす存在
Serpentは、知恵や秩序を授ける存在であると同時に、災いや滅びを招く両義的な存在ですの。
ムシに知性と秩序を授けたことで、神の怒りに触れ滅亡を招いた蒼白の王ウィルム――まさに、Serpentとしての役割を体現しているといえますわ。
この系譜のSerpentには、メソアメリカ神話の羽蛇神ケツァルコアトルや旧約聖書・創世記に登場する蛇がおります。
特に創世記の蛇と蒼白の王ウィルムには、多くの共通点がございますのよ。


Serpentが知恵の実を食べさせたことで、神の怒りを招き、楽園を追放されたアダムとエバ。
蒼白の王ウィルムが知性を授けたことで、ラディアンスの怒りに触れ、滅亡したハロウネスト王国。
この2匹の蛇が犯した禁忌は、まさしく同じものではございませんこと?
さらに聖書の解釈の中には、この Serpent を『光り輝く者』とみなす見方もございます。
『知恵と目覚めを与えた自由の導き手』『人の姿をした美しく輝く存在』『光の象徴』と語られることさえありますのよ。
蒼白の王ウィルムもまた、ムシたちの目に、光り輝いて映っていたのでございましょう。
そのお顔は明るく輝き、見る者が目を傷めるほどだったそうな。
― スタグ
だがこの世界にもうひとつの光が出現した。王の姿をしたウィルムがな。
― 先見者
そして禁じられた酒に溺れ堕落したケツァルコアトルしかり、神の園でエバを誘惑した蛇しかり、虚無に形を与えた蒼白の王しかり。
禁忌を犯すこともまた、この系譜に連なるSerpentの特徴なのですわ。
”死”によって、叡智と終末をもたらす存在
Serpentは、その死を契機に叡智や終末をもたらす存在ですの。
ギリシア神話においては、蛇神ピュートーンがアポロンに討たれたことで、デルポイの神託という未来視の叡智が人々に授けられました。
レヴィアタンが討たれたことによって秩序が確立し、ヨルムンガンドが倒れる時に世界は終末を迎えるのでございます。


ホロウナイトにおいても、同じ構造が見られますのよ。
蒼白の王ウィルムがワームとしての死を迎えたことで、ムシたちに知性や秩序といった叡智がもたらされた一方、世界は滅びへと向かっていきましたわ。
さらに王としての死を遂げたことで、主人公が実体を持った虚無となり、闇が光を葬り去った――それはまさしく、世界の終末であると申せましょう。
蒼白の王ウィルムは、死を契機に叡智を与えて終末をもたらす――Serpentとしての使命を、見事に果たしておりますの。
生と死を循環する、永遠なる存在
古来より蛇は『不死』『永遠』の象徴として、人々に畏れ敬われておりました。
- 新たな生命を得ているように見える脱皮→『若返り』『不死』の象徴へ
- とぐろを巻く姿・尾を食み環をなす姿→『永遠』『無限の循環』の象徴へ
- 地中を這う→地下にある死者の国(冥界ハデスや黄泉の国など)を往還できる存在
このようにして Serpent は、生と死を循環し、永遠を体現する存在として描かれてきたのでございます。
巨大なワームの体を捨て、王へと生まれ変わった蒼白の王ウィルムもまた、『生と死の循環』を体現する存在に他なりません。
――であるならば、わたくしは、蒼白の王ウィルムが『王としての死』を遂げた後も、どこかで再び生まれ変わり、新たな姿で存在しているのではないかしら…?と思えてなりませんの。
この灰に埋もれた地はウィルムの墓。ウィルムは死んだと言われている。だがあのような古の者にとって死とはなんだ? さらなる変化であろう。
― バードーン
蒼白の王ウィルムの物語
使命に駆られた蒼白の王ウィルム
蒼白の王ウィルムは蛇(Serpent)の使命を持つ古代竜『Wyrm』として、その役割を見事に体現しております。
蒼白の王ウィルムは、『Wyrm』の使命を果たすために行動していたのですわ。


改めて、本編のストーリー(虚無との抱擁ED)を、蒼白の王ウィルムの視点で振り返ってまいりましょう。
巨大なワームの身体を捨てて王として生まれ変わったのは、その死により世界に終末をもたらすためですの。
ムシたちに知性と秩序を与えたのも、知を授ける存在であるからですわ。
ですがSerpentが授ける知には、滅びが内包されているもの。
光の神は忘れられ、感染によって王国は滅亡の危機に瀕しました。
そこで自らの子どもと虚無を融合させるという禁忌を犯し、感染源である光の神を封印する器を作りましたの。
器による封印は失敗しますが、蒼白の王ウィルムが王としての死を遂げたことで、放浪者はその身に『虚無の心』を宿すことができました。
放浪者という器の中で虚無が統合し、器は闇そのものとなったのです。
そうして、光を闇が葬り去るED――新たな虚無の時代――つまり、世界の終末を迎えることができたのですわ。
いかがかしら?
蒼白の王ウィルム=Serpentの使命を持つ古代竜『Wyrm』と考えれば、彼の行動に矛盾はないのではなくて?
蒼白の王ウィルムの揺るがぬ目的
Serpentとしての使命に駆られながらも、蒼白の王ウィルムには揺るがぬ目的があったのですわ。
それは、崇拝する虚無が絶対的な存在となること――虚無の時代を迎えることですの。


神の家で虚無がラディアンスを葬ることは、以下のような意味を持ちますのよ。
- 虚無が、どの神々をも超越する新たな存在となった。
- 光と夢の世界が終焉を迎え、虚無の時代が到来した。



虚無の時代の夜明けですわ!!
虚無の時代を迎えるためには、①ラディアンスを弱体化する=感染を起こす ②ラディアンスを器に封じておく ③虚無を統合できる器を用意する ④神の家でラディアンスを葬る この4つの条件が必要ですの。
その状況を作るためにWyrmは王となり、わざと感染を起こしたと考えられますわ。
そして虚無を統合できる器――純粋なる器――放浪者が現れるのを待ち、王としての死を遂げましたの。
蒼白の王ウィルムがワームとして生きていた時、視えた未来には、神を求むる者たちの姿があったのではないかしら。
彼の行動はすべて、ハロウネスト王国や国民のためではなく、世界を終末に導くためのもの。
ムシたちを『欺くもの』――すなわちSerpentの役割とも一致しておりますのよ。
それは誰の意思なのか?
蒼白の王ウィルムは『Wyrm』として虚無の時代を呼びましたが、はたしてそれは、彼自身の意思だったのかしら?
虚無に長いこと関わっていると精神への干渉がおきますので、すべてが蒼白の王の意思とも言い切れないのですが――。
わたくしは、蒼白の王ウィルムと虚無は、協力関係にあったのではないかしらと見ておりますの。
なぜなら、蒼白の王ウィルムが誕生した場所に、虚無が干渉した形跡があるからですわ。


この黒いコードのようなツタのようなものは、虚無が在るところに現れるものですのよ。


『古代からの敵であるラディアンスを滅ぼし神として顕現したい虚無』と、『自らが崇拝する虚無の時代を迎えたいWyrm』の利害は一致しておりますので、何らかの契約があったのではないかしら。
そのような密約でもなければ、蒼白の王ウィルムは、あまりにも自在に虚無を操りすぎていると思いませんこと?
さらに言えば、蒼白の王ウィルムは絶対的なる虚無と同化し、すべてを超越する存在になりたかったのかもしれませんわ。
数多の神話に見られるように――神や王の肉体は滅んでも、その意志や力は子や器に継承されるものでございます。


『Wyrm』にとって死とは変容――放浪者という器に宿る蒼白の王ウィルムの残滓は虚無の一部となり、今も生き続けているのですわ。
ウィルムはともしびとなり、精神は拡張される。産出するために。ささげるために。
― 白い宮殿
永遠は約束され、呪われし子孫は束ねられる。
まとめ|蒼白の王ウィルムの正体 ―その使命と時代の転換―
本記事では、謎多き蒼白の王ウィルムの正体――そして彼が持つ使命や目的について、考察いたしました。
蒼白の王ウィルムの正体は、蛇(Serpent)の使命を持つ古代竜『Wyrm』でございます。
Serpentは『知恵と禁忌』『死によって終末を呼ぶ』『生と死の循環』などを象徴する存在ですわ。
蒼白の王ウィルムはSerpentとして使命を全うし、世界を終末――虚無の時代へと導きました。
王としての死を遂げてなお、その意思は器に宿る残滓となり虚無に溶け、生と死の環を巡り続けているのですわ。
ホロウナイトを神話譚として紐解くことで、さらなる深淵を覗くことができますの。
ここまで、ひとつの仮説を紹介いたしました。
お楽しみいただけたなら幸いですわ。



それでは、また別の記事でお目にかかりましょう。
ごきげんよう。







