【ホロウナイト考察】アビスクリーチャーとは何者か?青き光に瞬く瞳|生命の血を支えるムシ②【Hollow Knight】

この記事は《Hollow Knight: Silksong》発売前に作成された記事です。
《Hollow Knight: Silksong》の情報は含まれておりません。

ごきげんよう。
お嬢様の栗ノ宮 綾音(くりのみや あやね)ですわ。

前々回の記事では、生命の血の性質を辿り、魂が流体となって生と死をめぐる“魂の循環構造”に触れましたの。

そして前回は、生命の血を支えるムシ――祝福を背負う”青き子供ジョニ”の在り方を見つめましたわ。

今回はその続きとして、黒一色のアビスにおいて唯一の色彩を放つ“青き生命の祠”に潜む巨大なムシ――”アビスクリーチャー”に迫ります。

その正体はゲーム内でほとんど語られず、生命の血との関係さえ曖昧なままですわ。

生命の血の祠の中で、静かに瞬きをするアビスクリーチャー。

情報も極めて少なく、確たる正体に辿りつくのは容易ではございませんが、既知のデータと描写を丁寧に整理していくつかの可能性を導き出しましたの。

ここでは、その仮説を順にご紹介いたします。

考察の一助となりましたら幸いですわ。

本記事で触れる謎
  • アビスクリーチャーに関する情報まとめ
  • アビスクリーチャーの正体

アビスクリーチャーとは何か|判明している情報まとめ

はじめに『アビスクリーチャー』という存在について、わたくしたちが観察できる範囲の情報を整理し、その特徴が示唆する意味を探ってまいりますわ。

外見的特徴

アビスの深層で観測されるアビスクリーチャーは、黒いツタが束になったような繊維状の身体複数の青い瞳を持つ、巨大な存在でございます。

ゲームデータ内に確認できるのは頭部のスプライトのみで、全体像は明らかになっておりませんの。

唯一の画像データ『Abyss creature』

虚無の触手(Void Tendrils)との類似点

アビスクリーチャーの外見と近しい存在に、アビスの海に住まう虚無の触手(Void Tendrils)がございます。

彼らは近づく者へ黒い繊維状の触手を伸ばしますが、灯台の光や『虚無の心』の力を前にすると沈静化いたしますの。

『虚無の触手』アビスクリーチャーと同じように並んだ、灰色の瞳が見えますわ。

また、『虚無の触手』の狩猟者の書は、アビスの最奥に隠された『アビスの痕跡』に触れることで得られます。

この痕跡も同様に繊維質の形状を取っており、アビスクリーチャーの外見との類縁性を感じさせますわ。

『アビスの痕跡』

英語版では『An imprint of Abyss given form.』 と表現されております。

『形なきアビスの痕跡が、何らかの作用によって姿を与えられたもの』というニュアンスの、深い意味を持つ文でございますのよ。

アビスクリーチャーが出現する場所と条件

出現場所

アビスクリーチャーが姿を現す場所は、現在のところ、二箇所のみ確認されておりますの。

ひとつは、アビス最奥の『生命の血の祠』――チャーム『生命の核』の背後に。

もうひとつは、神の家の『生命の血の扉』の内部、青き繭が封印された部屋に佇んでおります。

いずれも現実と夢の狭間――通常のムシが踏み入れられぬ“境界”に属する空間でございますわ。

祠と扉の中のアビスクリーチャー

出現条件

アビスクリーチャーと対面するには、いずれも儀式めいた条件を満たす必要がございますの。

祠では《青き仮面を15個以上》、神の家では《拘束8つ以上の神殿突破》が求められ、どちらも一般のムシには到底叶わぬ試練でございます。

したがってアビスクリーチャーとは、“選ばれた者のみが出会える存在”なのですわ。

封印された祠と扉

アビスクリーチャーとプレイヤーとの関係性

プレイヤーがアビスクリーチャーに対して成しうることは、観測することのみでございます。

彼は呼吸をするかのように瞬きを繰り返すばかりで、いかなる干渉も届かず、こちらの声に応えてはくれませんの。

この一方的な関係性こそが、彼らが“生物”の域を超え、何か別の原理によって存在していることをうかがわせます。

ゆえに、制作者が彼を 『Abyss Creature』 と名づけた事実そのものが、深い象徴性を帯びてまいりますわ。

『Abyss creature』―ファイル名が示す象徴性

触れることすら許されぬ存在に与えられた、ただひとつの言葉―― Abyss Creature

それはゲーム内テキストではなく名前でもなく、画像に付されたファイル名にすぎません。

しかしながらその呼び名こそが、アビスクリーチャーの本質を探るうえでの重要な手がかりでございます。

『Abyss Creature』の語が何を示唆しているのか、製作者はどのような意図でこの名称を選んだのか――ここからは、その象徴性を丁寧に探ってまいりますわ。

『Abyss』の語が示す真の意味 ― 原初・未分化・魂の源の層

Abyssとは、天地創造よりも前に広がっていたとされる『原初の水』を指す言葉でございます。

『原初の水』は、あらゆる生命が生まれ落ちる母胎であると同時に、すべての魂が還り、溶けゆく場でもありますの。

ホロウナイトにおきましては、『生命の血』や『アビスの海』が原初の海の異なる相であると、わたくしは考えております。

したがって、アビスクリーチャーに付されたAbyssの語は、『原初なる存在』や『未分化の魂』といった位相を暗示していると解釈できますわ。

『Creature』の語が持つニュアンス ― 被造物としての存在

そしてCreatureという語は、次のようなニュアンスを含む言葉ですの。

  • creator(創造主)によって、意図的に創られた存在であること。
  • 世界の摂理の外側で生じた、異質で神秘的な被造物であること。
  • 物語世界の深層構造に触れる象徴的な存在であること。
  • 完全ではなく、変容の途上にある不完全な異形として描かれること。

『creature』の語が選ばれた段階で、アビスクリーチャーは単なる“生物”ではなく、何者かによって創出された、世界の根源層に属する存在として扱われていることがわかりますわ。

さらに、名も与えられず、頭部だけの画像データしか示されていないという事実そのものが、“未完成の被造物”という象徴性を体現しているのでございます。

したがって、『Abyss Creature』とは《原初なる存在によって創られた、世界の根幹に関わる存在》であると考えられますの。

ファイル名『Abyss Creature』 ― 世界の“秘密情報”

通常、ゲームに登場するキャラクターであれば、ゲーム内のテキストや図鑑、あるいはセリフによって語られる固有の名前がございますわ。

しかしアビスクリーチャーは、物語の世界では正体不明のまま語られず、創造主の視座――すなわちデータの深層には確かに存在しているという、きわめて特異な二重構造に置かれておりますの。

この奇妙な断絶こそ、“ホロウナイトの世界には、語られぬまま世界を支える根幹が息づいている” という静かな示唆であり、同時にアビスクリーチャーという存在が担う意味そのものを、そっと浮かび上がらせているように思われますわ。

製作者=創造神のイメージ図。

“未完成の被造物”が意味するもの

頭部のみの画像データとファイル名しか存在しないという在り方はきわめて異例で、この特異性は、次のような象徴的解釈を導きます。

一、未誕生の存在

すべてのものは“名付け”によって、世界の言語体系に包摂され存在が確定されますの。
まだ、その“名付け”が行われていない――つまり、生まれる以前の存在であることを示している可能性がありますわ。

二、世界の分類体系に登録されていない存在

作中に情報がまったく出てこないという事実は、ホロウナイトの世界では登録・分類されていない存在であることを暗示しているとも考えられます。

三、原初なるもの(原型/プロトタイプ)

頭部のみのデータ、そして輪郭すらも曖昧な状態の姿は、完成した生命体とはいえません。
神話における原型――プロトタイプに相当する段階の存在であることを思わせますわ。

アビスクリーチャーの情報まとめ《事実》
  • ツタが束になったような繊維質の体と、複数の青い目を持つ。
  • 『虚無の触手』『アビスの痕跡』との、外見の共通点あり。
  • 世界の境界の住人である。
  • 試練を乗り越えた者のみが会うことを許される。
暗示する象徴性《可能性》
  • 『Abyss Creature』とは《原初なる存在によって創られた、世界の根幹に関わる存在》
  • 未誕生の存在。
  • 登録・分類されていない存在。
  • 神話における、プロトタイプ。

これらの情報をもとに、3つの仮説を紹介いたしますわ。

仮説1:アビスクリーチャーは『生命の血を司る原理的存在』説

第一の仮説として考えられるのは、アビスクリーチャーは生命の血の循環や働きを管理・制御する上位の“原理的存在”ではないか、という見方でございます。

夢の光にはラディアンスが、緑の園にはウヌが、そして永遠を願う王国には蒼白の王と女王がいるように、青き生命の血にもそれを司る存在がいてもおかしくはありませんわ。

ただしアビスクリーチャーは他の上位存在と比較するとスケールが大きく、人格を持つ支配者というよりは生命の血という理そのものが形を得た存在と考えたほうが、世界観との整合性は高いように思われますの。

ここで想起されるのが、以前考察をした『原初の水』という概念でございます。

原初の水とは、世界創造以前からそこに在るとされる、世界の材料となった底なしの水。

その原初の水のうち塩水が擬人化された存在がティアマトであり、ティアマトを語源として、底なしの深淵を表す『Abyss』という言葉がうまれましたの。

そしてティアマトとは、多くの神々と理を産み世界を創った、“すべての母胎”でございます。

ティアマト(アビス)が産んだ原初なる、世界の理を司るもの――この存在こそ、『Abyss Creature』と呼ぶにふさわしいと思わなくて?

『生命の血・魂の循環』を管理するための、原初の理を擬人化した存在がアビスクリーチャーなのだとすれば――。

ホロウナイト世界のムシたちがその存在を知らないことも、また、世界の裏側にのみ配置されている状況にも、自然と説明がつきますわ。

そしてアビスクリーチャーとは、困難な儀式を乗り越えた先でのみ観測される存在でもございます。

フィールド上に最大19個しかない青き仮面を15個以上持つことで、ようやく入室が許されますの。

わたくしたちの世界の神話においても、儀式の末に到達できるのは“場所”ではなく“位相”であり、そこに現れるのは世界の理が人格を帯びた存在ですのよ。

つまり、困難な儀式を越えた幻想領域で会える存在とは、世界の中枢に組み込まれたシステム――その管理原理が可視化された姿であると解釈するのが、神話的にももっとも自然だと思いますわ。

語られず、動かず、しかし確かに配置されているアビスクリーチャーは、その無数の瞳で、生命の血の流れと魂の循環を静かに見守っているのかもしれませんわね。

仮説2:アビスクリーチャーは『上位存在の胎児』説

第二の仮説として浮かび上がるのは、アビスクリーチャーは完成した存在ではなく、これから誕生する上位存在――その胎児なのではないか、という見方でございます。

名前と頭部の画像しか持たず、プレイヤーのいかなる干渉も受け付けず、その存在を把握しているのが創造主のみであるという特異な在り方。

これは「隠されている」のではなく、まだ世界に顕現していない存在と考えた方が、むしろ自然ではなくて?

生命の血とは、循環する魂の流体が実体化したもの。

もし上位存在すらも魂の循環構造に組み込まれているとすれば、その誕生は、通常のムシとはまったく異なる経路を辿るはずですわ。

これから生まれる特別な命が、多量の生命の血を内包し、サナギのような状態で長い時間をかけて成熟を待っていたとしても、不思議はございません。

この仮説を補強する要素として見逃せないのが、アビスクリーチャーや虚無の痕跡に見られる、黒く繊維質な身体構造でございます。

この質感は、蒼白の王ウィルムの本体――ワームの体内構造とも、どこか通じるものがございますわ。

蒼白の王ウィルムが脱ぎ捨てた殻の内部。

ウィルムは上位存在でありながら、その元の姿――巨大なワームがどこから来たのかは、作中では語られておりません。

上位存在がどのように生まれ、どの段階を経て世界に現れるのか――その過程そのものが秘されている点は、胎児説と強く響き合っておりますの。

そしてアビスとは、魂が還り、新たに生まる場所。

その最深部で育まれる、分類不能・未完成の被造物――まさに、『Abyss Creature』と呼ぶべき存在ですわ。

アビスクリーチャーが羽化する時、この世界には、新たな上位存在が生まれるのかもしれませんわね。

仮説3:アビスクリーチャーは『アビスの痕跡』説

アビスクリーチャーは、個として生まれた存在ではなく、アビスの痕跡が形を得たものではないか――そう考えることもできますの。

その外見は、『虚無の触手』や『アビスの痕跡』と驚くほどよく一致しており、また意思や感情を持たないという内面的特徴も共通しております。

だとすれば、アビスクリーチャーとは特別な役割を与えられた存在というより、“アビスで生まれたものが、そのまま残った姿”――文字どおりの『Abyss Creature』なのではなくて?

さらに注目すべきは、その外見が『隠された神殿』や『黒卵の神殿』に用いられているムシの殻と酷似している点でございます。

『隠された神殿』の外観。
『黒卵の神殿』の内部。

これらの神殿はいずれも、“封印”と深く結びついた場所。

そしてアビスクリーチャーに会うためには、“儀式によってその封印を解く必要がある”という共通点も見逃せません。

もし、封印に用いられた殻がアビス由来のものであるならば、アビスクリーチャーと封印の関係性は、もはや偶然として片づけられるものではないでしょう。

しかし、その殻を用いた文明はすでに滅び、語る者はもはやどこにもおりません。

残されているのは広がる黒い繊維、アビスの構造物に見られる無数の目のような意匠など――意味を失った痕跡だけでございます。

アビスに見られる、繊維や、無数の目のような意匠。

これらを総合すると、かつてこの深淵がひとつのまとまりを持った存在、あるいは文明的構造であった可能性が浮かび上がってまいりますの。

アビスクリーチャーは、その時代――超古代に存在していたものなのかもしれませんわ。

もしそうであるならば、アビスクリーチャーとは、いまなお深淵の底に残された“失われた世界の記憶”が、かろうじて形を保っている姿

この世界が成立する前の、深淵そのものの名残なのではないか――そう考えることも、決して不自然ではないように思われますの。

そして、ここまでの仮説を踏まえれば、アビスに広がる黒い海と生命の血が同じ原初の水の、異なる位相であるという見方も、ひとつの筋を通して見えてまいります。

アビスの痕跡から生まれた存在が、永い時を経て生命の血の領域に近づいていたとしても――それは、世界の理の中では、ありえない出来事ではないのかもしれませんわ。

まとめ|アビスクリーチャーが語りうる、世界の深層

本記事では、謎多きアビスクリーチャーについて考察いたしました。

― まとめ ―

アビスクリーチャーは、繊維質の体複数の青い目を持つ、世界の深部――層をまたぐ境界に住むもの

儀式によって封印を解くと会うことができるが、プレイヤーからの干渉を許さない。

世界の中では語られず、ゲームデータの深部にてようやく確認できる特異な存在。

彼が何者で、どのような役割を負っているのか――判明している事実とその象徴性から、3つの仮説を立てた。

(1)生命の血を管理する原理的存在

(2)未誕生の、上位存在の胎児

(3)アビスが残した痕跡が形を得た姿

アビスクリーチャーとは何者なのか。

その答えは一つに定められるものではなく、いくつもの可能性が重なり合っている――そう考えるのが、自然なのかもしれませんわね。

ここまで、ひとつの仮説を紹介いたしました。

お楽しみいただけたなら幸いですわ。

それでは、また別の記事でお目にかかりましょう。
ごきげんよう。

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ごきげんよう。
こちらのブログでは、わたくしが好きなことを自由に綴っておりますの。
どうぞ、お茶でも片手に、ごゆるりとお読みあそばせ。